文/石井及子(日本ヨガメディカル協会)
記録的な猛暑が続いた2022年もいつの間にかコートを纏う季節となりました。
3年目のwithコロナ生活ですが、次第に自粛や規制は緩和され、外食やイベント参加、旅行などを再開された方も少なくないのではないでしょうか。またそのような中、32年ぶりの円安水準にインフレと、家計の圧迫は著しく、生活スタイルや収支の見直しをされている方も多いかと思います。
金銭的なことは死活問題となりますので、誰もがそのバランスを定期的に見直すということはされていると思いますが、今回は金銭以外のバランスも生きていく上では非常に大切である、というお話をさせていただきたいと思います。
バランスにはどんなものがある?
多くの方が普段、見聞きするバランスと言えば、やはり家計のバランスや、食事(栄養)のバランスが一般的となるでしょうか。更には「運動と休息のバランス」や「仕事とプライベートのバランス」などなど…
自己管理能力の高い方であればそのようなバランスも大切にされているかと思います。
実はこれら以外にも私たちは無意識に、様々なことにおいて、押したり引いたりと、バランスを取りながら生活をしているのです。
例えば人間関係。
ご家族やパートナーとの距離が近すぎて険悪になった経験はありませんか?
職場の上司や同僚、ご近所さんとのつかず離れずの距離を模索していませんか?
恋愛においてはよく「駆け引き」という言葉が使われますし、付き合い始めの恋人同士は、相手に重いと思われたくないために、わざわざ行動を控えたりするという話も聞きますね。
仕事においてもバランス力は必要とされます。
例えばスピードと正確さのバランス。
頼んだ仕事をあっという間に完成させたものの、ミスがあったり内容が薄いと意味がありませんし、逆にとても丁寧な良い仕事を完成させても相手を待たせていては組織自体に支障が出るかもしれません。
見栄えと中身のバランス。
見た目やタイトルは魅力的なのに中身が伴っていないと見掛け倒しになりますし、中身が良いのに見栄えが悪いと、そもそも中身を見てもらうことも叶わないかもしれません。
インプットとアウトプットのバランス。
学ぶことばかりに夢中になり実践の場を踏まないでいると、応用力が身につかず机上の空論を語るようになってしまったり、過去のインプットのまま実践だけを行っているといつの間にかそのやり方は古いものになっていたり…いずれにせよ信頼を失います。
取引の際のバランス。
取引先とこちらの希望のちょうど真ん中、もしくはそれよりも自分に有利なところで取り決めることが成功と思われるかもしれませんが、実は一概にそうでもありません。
時と場合によっては受け身になって相手側の希望通りにしてみることも、のちの自分のためのよい経験、学びになると、先々のことも見越して考えられる人こそが真のバランス力の高い人といえるでしょう。
これらは、解り易く「仕事」というカテゴリーでまとめただけであり、全て日常の様々なシーンに置き換えられると思います。
バランスとは間を取ること?
人間関係に戻ってこういうケースもあります。
友達と会った時、つい自分ばかり喋ってしまっていませんか?
逆に自分だけダンマリとか。
このようなケースにおいてはどうでしょう。
これではいけない、お互いが同じくらい喋り、聞くことがバランスの良い状態と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これは相手との相性があります。
もともとおしゃべりが好きな人と、聞くのが好きな人が会ったのであれば、一方が喋り、一方が聞く、それでお互いに心地の良い時間が過ごせているのであれば充分に良いバランスと言えるでしょう。
このようにバランス力とは様々な面で必要とされ、そのバランスとは必ずしも間を取ったところが適正というわけではなく、個人差もあれば状況によっても変化する、ということがおわかりいただけましたでしょうか。
身分相応という言葉がありますが、この流れを踏まえると、身の丈に合った生活をされている方は「バランス力の高い人」と言えるでしょう。
逆にバランス力が低いと、身分不相応な生活になり、人生の様々な場面において適切な対処ができず、結果何かしらの負担が増え、どこかしらの痛みを伴うことになるかと思います。
では、そのバランス力
一体どのようにして身に着けていったら良いのでしょうか。中間が正解でもなく、相手で変化したり、時と場合によるものをどのように見極め、バランスをとっていくと良いのでしょうか。
その決め手は「俯瞰力を養うこと」となります。
俯瞰力を養うマインドフルネス
「俯瞰」とは辞書によると「高いところから見下ろすこと」と書かれていますが、ここで言う「俯瞰」とは、「一歩引いて客観的にみる。全体を見渡す。長期的な視点で見る」という意味です。
具体的には、何かしらの出来事に対して、冷静さを用いてあらゆる方向から客観視し、また様々な可能性を想定しながら複数の選択肢を考え吟味し、時には事態を見守ることができる。それが俯瞰力です。
そしてマインドフルネスとは「今ここ」に意識を向ける心の在り方を言います。
具体的には瞑想やエクササイズを用いて、今ここに意識を向けながらありとあらゆる気付きを得ていくものになります。
俯瞰力は気づきとともに高まっていくものです。多くの気付きが俯瞰力を高めてくれると思っていただいて構いません。
つまりマインドフルネス瞑想などを実践し、気づきや俯瞰力を高めていくと、次第に今取るべきバランスのちょうど良い塩梅が見えてくるようになる、ということです。
ただ、じっと座っての瞑想は難しいと感じる方もいらっしゃるかと思います。
そんな時は、マインドフルに目の前のやるべき事を行っていただくだけでも充分効果はあります。
考え事をしながらの自動操縦ではなく、今この瞬間を感じ取るように、五感を研ぎ澄まし、大切に丁寧に作業、行動を行ってみてください。
例えば、料理する手元に集中する、歩く際の足裏の感覚に意識を向ける、電車に乗っているときは外の景色をあるがままに見たり喧騒を聞く、揺れを体で感じる、などなど。
そのような習慣を身に着け、継続していくと、いつどんな時でも冷静さを保つことができ、自分自身の気持ちや考えに気づいたり俯瞰することが容易になり、自然と対人関係では相手の気持ちに気づけたり配慮することができるようになれますし、その他でも状況に応じた丁度良い塩梅、自分にとってのちょうど良いところ、ちょうど良いバランスというものが見いだせるようになってきます。
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日常の中での実践も難しそうと感じる方には、マインドフルにヨガを行うという練習方法もあります。これもやはり、一人でやるよりはガイドが入った方がマインドフルになりやすいです。
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